展覧会の紹介

鵜 沼 人 士 個展 札幌時計台ギャラリーA室(中央区北1西3)
9月3日(月)〜8日(土)

 札幌の画家、鵜沼さんは3年ぶりの個展です。
 風景画の小品も、小樽や余市を題材にしたものなどが何点かありますが、やっぱり人物画がいいなあ。
 若い女性1人が室内でモデルになっている、何の変哲もない油彩なのですが、端正なタッチには品の良さが感じられます。言わずもがなのことを付け加えれば、みな普通の着衣で、どこにでもいそうな女性たちです。
 いわゆる、日本のアカデミズムの手法に近い画風といえましょう。西洋アカデミズムに比べ、ちょっと印象派的なタッチを取り入れた画法。近くから見ると筆触が目に付き、「絵らしさ」のようなものを感じますが、ちょっと離れてみると写真のようなリアルさ。風景はさておき人物をこの描き方でかく人は、道内にはじつに少ないため、新鮮に感じられます。
 100号の5点のうち、4点までが、モデルが窓際にいます。
 写真なら不自然な写り方になってしまいがちな位置関係でも、絵なら落ち着いた色合いになります。
 鵜沼さんも
「逆光の肌の色合いが、一つのテーマなので」
とおっしゃっていました。
 一番新しい「待春2」は、女性の着ている花模様の青紫色の服の描写が細密な反面、床や書棚など背景部分は比較的ラフなタッチで描かれています。珈琲セットやホルンなどの「小道具」もありません。
 おそらくこの秋の道展出品作になるのでしょうが
「このまま、手をあまり入れないほうが、人物が引き立っていいかも」
との、鵜沼さんのお話でした。
 

(9月6日)